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電気設計の外注と内製|コスト構造で選ぶ判定基準

電気設計を外注すべきか内製化すべきか、製造現場のご担当者から頻繁にいただくご相談です。表面上の設計料だけで判断すると、修正対応や納期加算などの隠れた費用で当初見込みを超えるケースが多く、逆に安易に内製化してもライセンスや人材育成の初期投資で数年赤字が続くこともあります。この記事では、外注と内製のコスト構造の違い、判定基準、ハイブリッド戦略までを具体的な数字と実務的な視点で整理します。守口・門真エリアの製造現場で電気設計コストの見直しをご検討中の方に、判定の材料としてお役立ていただければ幸いです。

電気設計の外注と内製|実際のコスト構造の違い

外注は設計料に固定費や手数料が上乗せされ、内製は人件費と設備投資が先行します。業務量と季節変動の有無で判定基準が変わります。

電気設計のコスト比較でまず理解しておきたいのは、外注と内製ではコストの発生タイミングと構造そのものが大きく異なるという点です。外注は「1件ごとの変動費」として計上されるため、閑散期には費用が発生しない反面、繁忙期には想定外の追加費用が積み上がります。一方の内製は「毎月の固定費」として発生するため、業務量が少ない月でも人件費や設備維持費が変わらず、業務量が多い月には1件あたりのコストが下がる構造になります。

外注の場合:見えている費用と隠れた追加コスト

外注の見積もり書に記載される設計料は、あくまで「標準ケースの基本料金」であることが多く、実際の現場では修正対応・納期急加算・最小ロット制などの追加費用が発生します。当初見積もりの110〜130%が最終的な支払額になるケースが一般的で、この差分を見落とすと予算計画が崩れます。

特に注意したいのが変更対応料です。実現場では初回設計から納品までに3〜5回の修正が発生することが珍しくなく、1回あたり数万円〜十数万円の追加料金がかかると、合計で当初の3〜4割増になることもあります。また、標準納期を超える急ぎ対応には20〜50%の加算率が設定されている業者も多く、繁忙期の駆け込み依頼はコストを押し上げる要因になります。

内製の場合:初期投資と継続経費の2段構え

内製化に踏み切る場合、初年度に必要な初期投資はCADソフトライセンス・シーケンサーソフト・PC環境・人材育成を合わせて100〜300万円が目安です。加えて、設計者1名を配置するための人件費が月額40〜60万円、年間換算で500〜700万円程度が毎月発生します。

この固定費は業務量にかかわらず変動しないため、年間の設計件数が少ないうちは1件あたりのコストが外注より高くなりがちです。内製化のメリットが発揮されるのは、業務量が一定水準を超えて設計者1名分の稼働率が確保できるようになってからです。

電気設計のご相談は、当社の業務内容や制御盤設計の実例と合わせてご確認いただけます。お問い合わせはこちらからお気軽にご連絡ください。

見積もりの読み方|外注先の単価を見抜く3つのチェックポイント

基本設計料・変更対応料・納期加算料の内訳を確認し、相見積もりで相場感を把握することが、外注コストを適正化する第一歩です。

外注先の見積もり書には各社ごとにフォーマットの違いがあり、単純に総額だけを比較すると本質を見誤ります。特に電気設計の分野では、基本料金の安さで受注し、変更対応や追加要件で利益を確保するという価格設計をしている業者も少なくありません。見積もりの読み方を押さえておくことで、実際の総支払額を正確に予測できるようになります。

基本設計料と変更対応料の分け方を確認する

まず確認したいのは、基本設計料に含まれる「修正回数」と「修正範囲」の明記です。「修正は含まれる」という曖昧な表記のままだと、後から「軽微な修正は含むが、仕様変更は別途」といった解釈の齟齬が発生します。変更1回あたりの料金と、何をもって「変更」とカウントするかの定義が書面で明確になっているかを確認してください。

実際の現場では、初回図面提出後にお客様側の要件追加や現場確認による修正が3〜5回発生することが一般的です。1回あたり5万円の変更対応料が発生する契約であれば、5回で25万円の追加コストが発生する計算になります。この見込みを最初から予算に組み込んでおくことが重要です。

納期加算と急ぎ対応の扱いを把握する

標準納期を超える短納期対応の加算率も、業者ごとに大きく異なります。一般的には20〜50%の加算率が設定されており、超短納期(1週間以内など)では2倍近い料金設定になる場合もあります。相手方の設計者リソース状況によっては、そもそも短納期対応を受けられないケースもあるため、対応可否の確認が必要です。

加えて、夏場のお盆期間・年末年始・ゴールデンウィーク前後は多くの外注先で対応リソースが逼迫しやすい時期です。この時期に納期を設定する場合は、通常よりも余裕のあるスケジュール設定と、事前の予約確保が有効です。

確認項目 確認内容 追加費用の目安
変更対応料 修正1回あたりの料金と回数上限 3〜10万円/回
納期加算料 標準納期短縮時の加算率 基本料の20〜50%
最小ロット 1件あたりの最低受注額 10〜30万円が相場
出張対応 現地確認時の交通費・日当 2〜5万円/回

当社が携わってきた自動制御盤の設計・製作の実例は業務内容・施工事例はこちらからご覧いただけます。

内製化を検討するときの準備チェックリスト|設備投資と体制構築の現実

内製化にはCADソフト・シーケンサーライセンス・人材育成の3段階投資が必要です。同時に設計標準化とドキュメント管理の内部体制構築も欠かせません。

内製化を検討する際、多くの製造現場が見落としがちなのが「設備投資」と「体制構築」を並行して進める必要があるという点です。ソフトウェアと人材を揃えれば設計業務がすぐに回り始めるわけではなく、社内の設計基準や配線規格、テンプレートといった標準化ドキュメントが整備されて初めて、安定した品質での内製設計が可能になります。

CAD・シーケンサーライセンスと年間維持費の負担

電気設計に必要なCADソフトのライセンス費用は、初年度で50〜100万円程度、その後も毎年の保守料として10〜30万円が継続的に発生します。加えてシーケンサープログラミングソフトも同様のライセンス体系で、複数の設計者が同時に作業する場合はユーザー数分のライセンスが必要です。

コスト削減の観点では、CADの共有ライセンス(フローティングライセンス)の選択も一つの方法です。同時使用者数分だけライセンスを購入する形式のため、5名の設計者に対して3ライセンスといった運用が可能になり、初期投資を圧縮できます。ただし、繁忙期に同時使用の競合が起きると作業効率が落ちるため、業務ピーク時の稼働状況を見込んだ設計が必要です。

設計標準化ドキュメント作成と人材育成期間

内製化の成否を分けるのが、社内設計基準・配線規格・図面テンプレートの整備です。これらのドキュメント作成には3〜6ヶ月を要するのが一般的で、この期間の設計品質は担当者個人のスキルに依存する不安定な状態になります。

設計者1名を独立して業務を任せられるレベルまで育成するには、1〜2年の現場経験が必要です。この育成期間中は外注と内製を並行する「二重払い状態」になるため、実質的なコスト削減効果が出るのは3年目以降というケースが多く見られます。この移行期間の資金計画を事前に立てておくことが、内製化を成功させるポイントです。

費用を抑えるコツ|外注と内製のハイブリッド戦略5つの実践法

すべてを外注または内製にするのではなく、定型業務は内製、複雑案件は外注という使い分けが現実的です。季節変動に応じた部分委託で固定費を最小化できます。

電気設計のコスト最適化を考えるとき、多くの製造現場が「外注か内製か」の二択で考えがちですが、実際にはハイブリッド戦略の方が総コストで有利になるケースが少なくありません。業務内容の性質と発生頻度に応じて分担を設計することで、固定費と変動費のバランスを取ることができます。

定型業務と非定型業務を分離する切り口

ハイブリッド戦略の基本は、業務を「定型」と「非定型」に分けることです。配線図の軽微な修正、既存盤の小規模変更、実績のある回路の複製といった定型業務は、社内で処理する方が納期・コスト・意思疎通のすべてで有利になります。一方、新規提案・複雑な通信設計・初回設計といった非定型業務は、専門的な知見と設計工数が必要なため外注が向いています。

この切り分けを最初に明確にしておくことで、内製化に必要な人材・設備の規模を最小限に抑えられます。全業務を内製化しようとすると、専門分野ごとに複数の設計者と設備が必要になり、初期投資が膨らみます。「定型のみ内製」の方針であれば、設計者1〜2名体制で回すことも可能です。

季節変動に応じた『期間限定の部分外注』で柔軟対応

製造業の電気設計は季節変動が大きく、閑散期と繁忙期で業務量が2〜3倍変動することも珍しくありません。年間を通じて繁忙期のピークに合わせた人員配置をすると、閑散期の稼働率が下がって固定費が重くなります。

この課題への対応が、繁忙期(3〜4月・9〜10月など)のみのスポット外注です。年間採用ではなくピーク時のみ部分委託することで、固定費を抑えながら業務量の変動に対応できます。閑散期は社内設計者1〜2名で対応し、繁忙期のみ外注で補強するという柔軟な体制が、費用対効果の観点で最も現実的な選択肢の一つです。

業務種別 推奨対応 理由
既存盤の小改修 内製 頻度が高く定型化しやすい
配線図の軽微修正 内製 短納期での対応が有利
新規大型案件 外注 専門知見と工数が必要
繁忙期の追加案件 スポット外注 固定費を増やさず柔軟対応

外注と内製の判定基準|年間設計件数で見るBOP判定図

年間設計件数10件未満は外注、10〜20件はハイブリッド、20件以上は内製化検討が目安です。ただし1件あたりの複雑度と納期緊急性も加味して判定します。

外注と内製の判定には、業務量を定量化して初期投資の回収期間を試算する「ペイオフ分析」が有効です。感覚的な判断ではなく、年間設計件数と1件あたりのコスト差を計算することで、内製化の投資回収期間が明確になります。

年間設計件数と初期投資のペイオフを計算する

内製化の初期投資を200万円と想定し、年間の外注費削減効果が200万円の場合、単純計算では1年で回収できますが、初年度は人材育成期間と外注併用期間が重なるため、実質的な削減効果は50〜100万円程度に留まります。したがって、初年度に投資を回収するのは現実的ではなく、2〜3年での回収を前提とした計画が現実的です。

回収期間を短縮するには、年間300万円以上の外注費削減見込みがあるかどうかが判断の目安になります。年間の外注費が500万円以下の規模であれば、内製化のメリットよりも外注継続のメリットが上回るケースが多く、無理に内製化に踏み切ると固定費が経営を圧迫するリスクがあります。

納期緊急性と技術的複雑度も合わせて判定する

年間件数だけで判定すると誤った結論に至ることがあります。件数が多くても、変則的な緊急設計や多品種少量生産の提案型設計が中心の場合は、外注で柔軟性を確保する方が総コストで有利になります。内製化は「同じような設計を繰り返し行う」業務に適しており、案件ごとに設計内容が大きく異なる業務には向きません。

逆に、年間件数が10件程度でも、同一系統の設計を繰り返す業務であれば、内製化によるノウハウ蓄積とスピードアップ効果が期待できます。判定は「件数×複雑度×緊急性」の3軸で行うことが、実務的な判断につながります。

年間設計件数 推奨方針 判定の補足
10件未満 外注中心 固定費負担が回収困難
10〜20件 ハイブリッド 定型内製・非定型外注
20件以上 内製化検討 複雑度と緊急性も加味

製造現場のDX化や制御盤設計の実績は業務内容・施工事例はこちらでご紹介しています。判定基準に迷った際のご相談はお問い合わせはこちらから承ります。

よくある質問(FAQ)

Q. 内製化で本当にコスト削減できますか

年間設計件数10件以上かつ複雑度が安定していれば2〜3年での回収が目安です。ただし初年度は人材育成期間で削減効果が出にくく、事前のシミュレーションが必須です。

Q. 内製化後に設計品質が低下した場合の対策は

設計標準化・チェック体制・レビュー体制の構築に約1年を要します。その間は外注併用で品質維持を図ることが有効です。標準化なしの内製化は失敗しやすい傾向があります。

Q. 外注先を比較する際のポイントは何ですか

設計料の安さより、修正対応の迅速性・納期短縮の可否・技術相談への応じやすさが重要です。3社以上に同一条件で相見積もりを取り、比較検討することが基本です。

この記事を書いた理由

著者 – 有限会社佐々木電機工業

電気設計の費用削減をご検討のお客様から、外注を内製化したものの人材育成や設計標準化に時間を要し、かえって品質低下や納期遅延に陥ったというご相談をいただくことがあります。コスト効率と品質維持のバランスが重要だと感じています。

守口・門真の製造現場からご相談をいただく際は、業務量・納期要件・技術レベルを整理したうえで最適な選択肢をご提案することを大切にしています。この記事が判断材料の一助となれば幸いです。

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