電気設計の外注と内製|守口の採算分岐点
製造現場の電気設計をどこまで外に出し、どこから自社でまかなうか。この線引きは、設備投資の判断と同じくらい経営に効いてきます。大阪府守口市・門真市・寝屋川市・摂津市の製造業の皆様から、当社によくご相談いただくテーマのひとつです。外注単価と年間発注件数、設計の難度、納期環境を数字で並べると、感覚ではなく採算分岐点で判断できるようになります。本記事では、電気設計の外注と内製のコスト構造を比較し、切り替えのタイミングを見極めるための判断軸を整理します。
電気設計外注と内製の費用構造の基本
電気設計の外注は1件ごとの設計料が中心で変動費型、内製は人件費と設備投資が中心の固定費型という構造の違いがあります。年間発注量と1件単価の掛け算で、どちらが有利かが決まります。
外注の費用形態:変動費と固定費の切り分け
電気設計を外注する場合、費用の大半は1件ごとの設計料として発生します。制御盤1面分のシーケンス設計で、相場としては概ね5万円〜30万円程度の幅があります。小規模な改造案件なら5万円前後に収まることもありますが、PLCの新規プログラム開発やタッチパネル画面設計を含むと20万円を超えてくることも珍しくありません。
外注の強みは、発注がなければ費用が発生しない点にあります。繁忙期だけ使い、閑散期は止められるため、キャッシュフローの変動を抑えやすい構造です。一方で、年間の発注量が増えてくると、1件ごとの単価の積み上げが固定人件費を上回る水準に達します。ここが外注の限界点です。
加えて、業者ごとに「初回打ち合わせ費」「現地調査費」「立ち合い費」といった固定費が設定されていることもあります。見積書の内訳を細かく確認し、純粋な設計料とそれ以外を分けて把握しておくと、年間総額の見通しが立てやすくなります。
内製の費用形態:人件費中心と固定経費
内製化する場合、費用構造の中心は設計者の人件費になります。経験のあるシーケンス技術者を1名雇用するなら、給与として概ね年400万〜600万円程度が目安です。これに社会保険の会社負担分、賞与、退職金引当などを加えると、総人件費はさらに積み上がります。
設備面では、CADソフトウェアのライセンス料、PLCのプログラミングソフト、シミュレーションツールなどが必要になります。保守料として年10万〜20万円程度を見込んでおく必要があります。試作用のPLCやタッチパネル、電源装置などの検証環境も、立ち上げ時には100万円単位の初期投資になることがあります。
当社でご相談を受ける中では、年間8件以上の設計案件が安定して見込める場合、内製化が外注より有利に働きやすいという目安が見えてきます。ただしこれは1件あたりの単価と難度で前後します。詳しい業務内容や過去の対応例については、業務内容・施工事例はこちらをご参照ください。費用シミュレーションのご相談はお問い合わせはこちらから承っております。
納期と品質の視点から選ぶ判断基準
外注は特殊設計の対応力が高い一方で納期の融通が利きにくく、内製は納期を自社で握れる反面、人員リソースの上限に縛られます。コストだけでなく納期と品質の両面から選ぶ必要があります。
納期圧迫が外注選択のシグナル
月に2件以上の急な設計依頼が常態化している現場では、外注だけでは納期が追いつかなくなる局面が出てきます。外注先も自社の受注スケジュールで動いているため、「来週までに」という依頼に即応できる業者ばかりではありません。急件対応の割増料金が発生することもあります。
一方で、標準仕様の制御盤を繰り返し製作しているような現場では、設計内容がパターン化しているため、外注でも十分にスピードが出ます。むしろ、ノウハウを持った外注先と長期的に組んだほうが、設計の立ち上がりが速いこともあります。急件が多いか、標準案件が多いか、この切り分けが納期判断の起点です。
守口市・門真市周辺の製造業では、親会社の生産スケジュール変動に合わせて急な設備改造が発生するケースが多く見られます。こうした環境では、内製の設計者が1名いるだけで、現場との往復調整の時間が大幅に短縮されます。
品質管理と設計ばらつき
内製化の大きな利点は、自社の設計基準を全案件に貫徹できる点です。配線色の統一、端子番号の採番ルール、PLCのデバイス割付ルールといった社内標準を守れば、現場作業員が複数案件を横断してもミスが起こりにくくなります。
外注の場合、業者ごとに設計の流儀が異なるため、業者選定時に品質基準の取り決めが重要になります。図面の様式、プログラムのコメント記述ルール、試験成績書の形式などを事前に文書化し、発注時に共有しておくことで、後工程でのトラブルを減らせます。
一般的に、電気設計のばらつきは現場での試運転時間に跳ね返ります。設計の品質管理をおろそかにすると、見かけ上の設計費は安くても、立ち上げ工数が膨らんで総コストが悪化することがあります。
見積もり時に確認すべき費用項目と隠れコスト
外注見積では修正回数・仕様変更費・急件対応料の範囲を明記させることが重要です。内製検討時は、給与以外の福利厚生・教育投資・人材流出リスクを総額で計算する必要があります。
外注見積の落とし穴:修正と変更の定義
外注の見積書を比較するときに見落とされやすいのが、修正と仕様変更の定義です。「仕様変更は別途費用」「修正対応は3回まで」といった条件が業者ごとに異なるため、同じ設計料に見えても、プロジェクト完了までの総額が大きく変わることがあります。
以下は、外注見積で確認しておきたい主な項目の一例です。
| 確認項目 | 典型的な設定例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 修正回数 | 2〜3回まで無償 | 超過分の単価を確認 |
| 仕様変更費 | 別途見積 | 変更の範囲定義を文書化 |
| 急件対応料 | 通常料金の2〜5割増 | 適用基準の日数を確認 |
| 現地立ち合い | 半日3万〜5万円 | 交通費の扱いを別途確認 |
発注前にこれらを文書化しておくと、後からの追加費用で揉めるリスクを抑えられます。業者側も明確な基準があるほうが動きやすく、結果的に良い関係が築きやすくなります。
内製のコストに含まれない項目
内製化を検討するとき、給与と社会保険だけを計算してしまうと、実際の総コストと大きくずれます。見落としやすい項目として、資格取得費があります。第二種・第一種電気工事士、電気主任技術者などの受験料や講習費、合格後の資格手当などを合計すると、1名あたり年数万〜十数万円の継続費用になります。
さらに重要なのが、人材流出リスクと教育投資の時間軸です。PLC設計の実務ができるようになるまで、未経験者なら概ね2〜3年の育成期間が必要とされます。この間、先輩技術者の指導時間も実質的なコストです。せっかく育てた人材が転職してしまえば、その投資は回収できません。
一般的に、内製化の採算を正しく評価するには、給与の1.5〜1.8倍程度を総人件費として見込むのが実務的です。福利厚生、賞与、退職金引当、教育費、オフィス関連の経費などを含めた数字で比較する必要があります。業務内容の詳細は業務内容・施工事例はこちらをご覧ください。
採算分岐点:いつ外注から内製へ切り替えるか
年間発注件数、設計の難度、納期環境の3軸でシミュレーションすると、外注から内製への切り替え時期が見えてきます。3年・5年単位での累積コストで判断するのが実務的です。
年間件数別の採算分岐シミュレーション
年間の電気設計案件数ごとに、どのような選択が現実的かを整理します。以下は目安として参考にしてください。実際の判定は、1件あたりの単価と設計難度で前後します。
| 年間件数 | 推奨する体制 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 3件未満 | 外注中心 | 固定人件費が重荷になりやすい |
| 6〜12件 | 併用・検討期 | 難度と納期で判断を分ける |
| 15件以上 | 内製を軸に | 設計者1〜2名体制を検討 |
年6〜12件のゾーンは判断が難しい領域です。標準仕様の繰り返しなら外注でも十分ですが、カスタム設計が多いなら内製化のメリットが見えてきます。この帯域では、まず1名を採用して外注と併用する形から始める企業が多く見られます。
3年・5年単位での累積コスト試算
単年度のコスト比較だけでは、設備投資や人材育成の効果を正しく評価できません。3年・5年の累積コストで並べることで、長期的にどちらが有利かが見えてきます。
外注の累積コストは「1件単価×年間件数×年数」でおおむね計算できます。たとえば1件15万円の案件が年10件、3年間続けば累積450万円です。これに対し、内製の場合は「総人件費×年数+設備投資+ソフト保守×年数」となります。
重要なのは、内製化の初年度は育成コストや設備投資で割高になるものの、2年目以降は固定費のみで回る点です。3年目以降に効果が出始め、5年目には累積コストで外注を下回るケースが多く見られます。切り替えを検討されている方は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
大阪府守口市周辺の製造業で見える、外注・内製の実例と環境差
大阪府守口市・門真市・寝屋川市・摂津市の製造業では、下請け比率の高い工場は外注活用が浸透し、自社製品開発型の企業は内製投資が先行する傾向があります。地元業者との距離感も判断に影響します。
大阪府守口市周辺の電気設計業者の納期・品質トレンド
守口市・門真市・寝屋川市・摂津市エリアには、電気設計を手がける業者が複数存在します。地元業者を活用する利点は、何といっても距離の近さです。現地確認や修正の打ち合わせがその日のうちに対応できるため、設計変更が多い案件ほどメリットが大きくなります。
一方で、小規模な業者は繁忙時期になると納期遅延のリスクも抱えています。複数社と関係を持ち、案件の性格に応じて使い分ける企業が増えています。守口市周辺は、親会社の生産変動を受けやすい下請け構造の工場が多く、設計スピードが競争力に直結する環境です。
当社も守口市を拠点に、門真市・寝屋川市・摂津市の製造業の皆様の電気設計・制御盤設計をお手伝いしています。地域密着で動いているからこそ、現場の変更要望にも機動的に対応できる体制を大切にしています。
内製体制を整えた企業の共通パターン
内製化に成功している守口市・門真市周辺の製造業には、いくつかの共通パターンが見られます。まず、ベテランのPLC設計経験者を1〜2名確保し、その周りで新人を育成する体制を敷いていることです。経験者がゼロの状態から内製を立ち上げるのは、育成期間が長くなり採算が合いにくくなります。
次に、育成期間として概ね3年のスパンを見込んでいる点です。新人が入社してから一人前の設計者として独り立ちするまでに2〜3年、そこから採算が改善するのはさらにその後になります。短期的な費用削減ではなく、中長期の技術資産として内製化を位置づける視点が重要です。
さらに、内製と外注の併用を前提にしている企業が多いことも特徴です。標準仕様は外注、カスタム設計や緊急対応は内製、といった役割分担によって、両方の強みを活かす形が実務的な解になっています。設備更新や制御盤の設計についてご相談があれば、業務内容・施工事例はこちらからご確認ください。
外注と内製を見極めるための実務的な進め方
いきなり内製化に踏み切るのではなく、現状の案件を分類し、小さく併用から始めるのが実務的です。半年〜1年のデータを取ってから本格的な判断に進むのが現実的です。
案件の分類から始める
最初のステップは、過去1〜2年の電気設計案件を棚卸しすることです。1件あたりの設計工数、修正回数、納期、設計の難度を一覧化します。この作業で、自社の案件がどういう性格を持っているかが可視化されます。
標準案件が7割、カスタム案件が3割というような構成が見えれば、標準部分は外注、カスタム部分は内製という切り分けが成り立ちます。逆にカスタム案件がほとんどを占めるなら、内製化のメリットが大きくなります。この分類作業を飛ばしてしまうと、感覚での判断になりやすく、採算分岐点を見誤る原因になります。
段階的な内製化のステップ
いきなり設計者を複数名雇って体制を組むのではなく、まず1名の採用または既存社員の育成から始めるのが現実的です。最初の1年は外注と併用し、内製側で対応できる案件を少しずつ増やしていきます。
この期間に、設計標準の整備、使用するソフトウェアの選定、業務フローの構築を進めます。1年経ったところで、内製で対応できた件数、工数、品質を評価し、2年目以降の体制を判断します。急ぎすぎると、育成が追いつかずに外注戻しが発生するリスクがあります。
電気設計の内製化・外注のご相談、制御盤設計や自動化のご相談はお問い合わせはこちらからお気軽にご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 外注と内製を並行できますか?
標準仕様は外注、カスタム設計は内製という役割分担が一般的です。切り替え初期の段階では、この併用が最も現実的で、ノウハウ蓄積と繁忙期対応の両立が可能になります。
Q. 設計者1名で内製として機能しますか?
年8〜10件程度までなら1名で対応できる目安です。15件以上は2名体制が必要になります。育成期間として1〜2年を見込み、スケジュールに余裕を持たせることをおすすめします。
Q. 内製後に外注へ戻すことはありますか?
設計者の退職や事業縮小時には検討されるケースがあります。戻す際は新たな業者選定に時間を要するため、既存の外注先との関係を継続しておくと安心です。
この記事を書いた理由
著者 – 有限会社佐々木電機工業
製造業のお客様から「電気設計を外注すべきか、自社で持つべきか」というご相談をよくいただきます。判断軸が整理されていないことで、感覚で選んでしまうケースが多いと感じています。
守口市・門真市・寝屋川市・摂津市のものづくり企業の皆様が、自社の規模と納期環境に合った選択ができるよう、本記事をまとめました。制御盤設計・PLC設計のご相談もお気軽にどうぞ。
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